口にはできない問題という感じの意味を表す慣用句表現
elephant in the room を直訳すると「部屋の中の像」となりますが、なぜかこれが「触れてはいけない話題、口にしたくない話」などのような意味として使われています。
起源らしきものはいくつかあるようですが、どれも不確かで分かりにくいものばかりでした。
場違いな所に場違いな物がある、というような比喩表現になっているのですが、あまりに場違い過ぎて口にできないとでも言わんばかりの意味になっているのでしょう。
象が普通の家の部屋の中にいるのは、インドやアフリカでもまず有り得ないことでしょうからね。
ペットで飼っている人はいるかも知れませんが・・・。
それでは例文を参考に覚えていきましょう。
例文で確認
A: Hey, the manager's hair is a bit strange. Don't you think so?
なあ、課長の髪ってちょっと変だよね。そう思わないかい。
B: Well, it's the elephant in the room. Didn't you know that?
え~と、それは触れてはいけない話なんだよ。知らなかったのかい。
big や huge などの語を付けて強調することもあります。
A: And his elevator shoes are the huge elephant in the room, OK?
それに課長のシークレットシューズも言ってはいけない話題だからね。
B: Oh, that's why he looks a little bit taller than before.
ああ、だから前よりちょっと背が高く見えるんだね。
靴の内側のかかとの部分が高くなった靴をシークレットシューズと言いますが、これは和製英語なので、英語では elevator shoe という言い方をします。
elevator は「エレベータ」ですが、高い所に登っていくという感じからそれとなく理解できる言い方ですよね。
◆口にできない話題がたくさんある時は当然に複数形になります。
A: There seem to be many subjects Jason wants to avoid.
ジェイソンが避けたい話題はたくさんありそうだな。
B: Year, he's well familiar with underground community. So he must have
many elephants in the room.
そうだよ、彼は裏社会にすごく精通しているからね。だから彼には口にしたくはない話がたくさんあるに違いないよ。
A はこの慣用句を直訳したような英文になっています。
時には「見て見ぬふり」という訳ができることもあるでしょう。
A: Until a few decades ago, talking about North Korean abduction issue
was the elephant in the room.
数十年前までは北朝鮮による拉致問題は触れてはならない問題だったね。
B: Yes, most Japanese politicians turned a blind eye to the subject.
うん、その話題には政治家の多くは見て見ぬ振りをしていたんだよ。
A の英文でも「見て見ぬ振り」と訳せますが、B の turn a blind eye という言う表現もそういう意味になるので、上記のように訳してみました。